2011年9月15日木曜日

ビデオ審判



試合終了間際だった。ペナルティエリアでメッシが倒される。しかしイエローカードはラ・レアルの選手ではなく、メッシに出された。そしてリプレイされたビデオには審判の下した判定を裏付ける映像が映し出されていた。

勇気ある審判だった。「もう俺はうんざりだ。」そう吐き捨てる心の声が空耳となって聞こえた。これでバルサがシミュレーションを使えなくなれば、モウリーニョが出来る言い訳が随分減るはずだ。マドリディスタであろうがバルセロニスタであろうが、サッカーを観て楽しむファンはフットボールで決着することを願っている。確かに後先の話は重要で、身を守る為に大げさなリアクションを取るのは、何もバルサばかりではない。審判がすべてを見通してくれていれば、そんなアピールは必要無い。しかしそれは不可能だ。そして大概、物事はエスカレートする。昨シーズン、大事な試合としてのクラシコが何戦にも渡ったことで、それはピークに達した感があった。それが今回の判定に繋がった。



CLでもマルセロがシミュレーションで2枚目のイエローカードを取られた。1枚目ではない、2枚目だ。足はかかっていたように見えたが、しょうがない。自分はマルセロが大好きだ。ファールを犯すところ以外は。本当にマルセロは、数少ないマドリディズモを体現する選手の1人だと本気で思っている。今日の試合でも、相手もかなりフェアプレーだったこともあり、マルセロもかなり我慢していいプレーをしたと思うが、目をつけられている選手というのは、どうしてもハンデを負ってしまう。審判が完全な客観性を持てないことは決して良いことではないし、本来あってはならないことだが、人間が裁く以上限度というものがある。

しかし、幸いなことに、今21世紀を10年も経過したおかげで、実に素晴らしい、高度で信頼性の高い映像技術があり、審判が見逃した暴力行為も、後でビデオに映っていれば、それを見て罰を下すことができる。ならばそれをリアルタイムに試合中に使えない理由は無い。むしろ早ければ早いほうが、試合の公正さにつながる。殴った選手がその場で退場になっていれば、試合結果は容易に変わり得るのだから。

従って全試合とは言わないが、一定以上の水準の試合には、『ビデオ審判』を導入すべきだだと断ぜざるを得ない。ビデオ審判は移動できるのだし、何より「審判」なのだから、FIFA/UEEFA/AFCなどの統括団体が審判として用意すればいい。

Cロナウドも昨日の試合で数針縫うケガを負ったにもかかわらずノーファールだったが、これは今に始まったことではない。審判は実に多くの判定を、驚くべき正確さで次々にこなしているが、完全完璧ではない。2010年南アフリカではわずか4%の間違いだとFIFAは誇らしげだったが、サッカーではその4%以下の中にこそ、致命的なケガや、試合を決めるプレーが生まれてしまうことがあり得るスポーツなのだ。

試合に備える過程では、ありとあらゆる最先端のテクノロジーによって選手が鍛えられ、高い戦術が練られているというのに、肝心の試合だけが未だ数の変わらない裸眼に頼っていては、プレイそのものの進化に追いついては行けまい。

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