2011年8月26日金曜日

機械翻訳

あまり大きな声では言えないが、自分の翻訳SNS構想の中にも当然、機械翻訳は息づいている。ただしこのような形ではない。

いつも独特の切り口でエッジの利いた英語ニュースを軽快な口調で和訳しつつ、時折小粒でぴりりと辛い山椒を織り交ぜ、メリハリとアクセントをつけてくれる『Long Tail World』での、ジョブス辞任についてのトピックスは、やはりさすがなセレクションだったが、その中で、ジョブス氏の伝記の著者がアインシュタインの著書を書いており、それが名著らしいという話が書かれていた。

(自分は邦訳された記事のほうしか読んでいないが)記事では今回のCEOは暫定的だという主旨の事を言っている。そして何故か通常6ヶ月もかかるものを、たった6週間に切り詰めて出版されることになったジョブス氏の伝記に何かが示されるのではないかと。

確かに面白い話だし、自分以上にジョブス氏を知る人なのであれば、彼のことをApple製品のようにシンプルではなく、複雑な構造を持っていて、本当のCEOを他に用意しているかのような面倒くさいことを、重病と戦いながらも(であるからこそ敢えて、とでも言うかもしれないが)やりそうだと思うのは、ネタではなく本気なのかもしれない。

しかし、シンプルでこそ美しくあるためには、電池交換の出来ないケータイを作る事も厭わない男など、世界広しと言えど2人といないだろう。過去にもカラー全盛の時代にモノクロのワークステーションを作り、5年先を言っていると自らが評したNEXTSTEPは、まさにそのシンプルな美しさで記憶に残るだけでなく、オブジェクト指向や革新的なUI/UXを通して、技術的にもその歴史上に痕跡を残したが、それは今まさにMacOSX上に息づいている。

つまりジョブスは世界にたった1人しかいない。だから後継者を探すという視点は、気をつけないと間違いになる。あくまでそれは会社を組織的に引き継ぐことでしかない。これまでのイノベーションはここで終わる。例え惰性で製品を出し続ける事が出来たとしても。そして今のところ強力なイノベータが皆無である状況を考えば、それは十分可能に見えるとしても。

もしAppleが本当に素晴らしい次なるイノベーションを起こすのであれば、それは新たなイノベータが出現するということであり、例え皆がその人物をジョブスの再来と呼ぼうと、後継者と呼ぼうと、同じであればイノベータにあらず、同じでなければジョブスではないのだ。

だから真っ先に思ったのが、そのジョブス氏の伝記の著者であるウォルター・アイザックソンの名著と言われるアインシュタインの伝記を読んでみたいということ。そしたら冒頭の機械翻訳のまま出版されてしまった話に行き着いた訳だ。買う直前に気づいたのだが、カートに入った本は果たしてどちらの版か。今問い合わせ中だ。

アインシュタインに関してはBBCなどで繰り返し相対性理論と共に放送されまくってきているが、自分が関心があるのは当然EPRだ。そして本当のところ量子力学を何だと思っていたのか。なぜ相対性理論の系は、光速を超えないように出来ているのか。なぜ量子力学では局所性は保たれないのか。なぜ物事は折り畳まれているのか。巨視性と微視性の境界はどこにあるのか。

世の中にはすべからず裏表があるように、宇宙にも裏表があるはずだ。さもなければ、裏表を解いていくと、どちらもない状態にどこかで陥る事になる。だとするとアインシュタインの裏とは、どんなものだろう。

原文も読んで、ぜひ勉強したい。といつもこう無謀なハードルを設定するのが、身にならない元なのだが。

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