2011年7月29日金曜日

ZIP! のベスト2から読み取る番組の意図

ベスト10とかベスト3というのはよく聞くが、ベスト2というのは初めて聞いた。ベストツー、だ。ベスト10の第2位ではない。ベスト10といえば1〜10位、ベスト3と言えば1〜3位、同様にベスト2とは1位と2位のことだ。いや、絶対初めて聞いた。

朝、ZIP!という日本テレビの番組を見ている。朝は時間との戦いなので、時計を見るためなのだが、自然に番組内容が(頭に)入ってくることもある。それと、「MOCO'S キッチン」だけはお気に入りのコーナーだ。あまりに素晴らしいので、近頃は「モコちゃん」と呼ぶようになっている。

さて、そんな番組を"ながら見"中に入ってきたコーナーがあった。日本に住む外国人の方がカラオケを歌っていて、みんな上手→どうして?→日本の歌は歌いやすい、歌いたくなる→このコーナーでの調査での2位がAKB48、1位がSMAP→めでたしめでたし、といった流れだった。

まあそれはいいとして、この中で不思議なことが???をまき散らした。「ベスト2を発表します!」と来たのだ。ベスト2?ベストつぅ〜う? ベスト10やベスト3なら分かる。しかしベスト2とはまた絞ったなあ。理由がさっぱり分からない。

その後レディーガガのビデオが流され、洋楽は演奏技術やら何やらに重点を置いていて、邦楽は歌いやすさ覚えさすさに重点を置いている、みたいなことを言っていて(申し訳ないが、ここの言い回しは、実際と違うと思うが、だいたいそういうことだったと思う)、洋楽は聞いて楽しむ、邦楽は歌って楽しむ、としていた。大分あとで気づいたが、洋楽を歌って楽しみたい自分には、かなり強引な振りである。だがこのときはまだ、全然気づいていなかった。

そこで自分は、なるほど!そういうことだったのか、と、一瞬納得されられた。だが、これを校長に聞いたら何と答えるだろうか、しがらみ抜きで核心を語ってくださるのは校長先生しかおりません!とメールでもしようかと思っていたら、凸然、これが策略だということに気づいた! 

「嗚呼、なんて自分は頭がいいんだ!(笑)」

それはつい最近、レディーガガとスマップが競演したTV番組をちらっと見たことが背景にある。その番組を見たとき、自分はビデオクリップ以外で初めてレディーガガを見たのだが、その迫力たるや、彼女の変装など他愛の無いことに思えるほど素晴らしかった。この人は本物のミュージシャンだ、とそのとき初めて知った。

そして同時に、同じステージに立っていたスマップがかわいそうになった。まるでエキストラである。自分は思わず笑ってしまった。悪気は無かった。馬鹿にするつもりも毛頭ない。だが、笑うしかなかったのだ。同情しながら。レディーガガに比べれば、SMAPやAKB48は、さながら学芸会だ。それが悪い訳ではないが。

そんな番組の記憶が、このコーナーの後の方で流されたベスト10?ぐらいだったかの一覧表の中で、3位がX JAPANだった事実と瞬時に繋がった。

そうか、3位はX JAPANか! だから「ベスト2を発表します!」だったのか!

そう、X JAPANのボーカルは、ちょっと日本人離れした、非常に高い声で、洋楽に比べて決して歌いやすくはないはずだ。もし3位のX JAPANから紹介したら、2位AKB48、1位SMAPと余りに音楽的にかけ離れすぎている。しかも歌いやすいのが邦楽の良さ、というコンセプトが成り立たなくなってしまう。

思うに、おそらく、レディーガガとスマップのステージを見て、余の格差を感じた聴衆が、大勢いたのだろう。それをひっくり返すためのマーケティングだったのだ。さすがだ。転んだら倍返し。たちあがろう日本。せっかく日本を励ましにきたガガの行動が、大きく裏目に出てしまっては申し訳ない、情けない。もっと邦楽の良さを伝えなければ!

まあ、邦楽の良さが本当に歌いやすさ、歌いたくなる楽しさにあるのかどうか、そこは疑問だが、邦楽が好きな人が楽しむのに、そもそも遠慮は要らない。

ただ自分にはデフレの象徴にしか見えないAKB48のようなアイドルは、秋元 康氏曰く「王道ですから戦略はない」のであり(戦場カメラマンの渡辺さんがTV番組(確か深イイ話)でご本人から聞いた話として話していた)、実際、秋元氏を辿れば、オールナイトフジ(折しも今日から開催のフジロックのそれではなくフジテレビの昔の番組)やおニャン子クラブに代表される大勢メンバーがいる女の子アイドルに行き着くわけで、カラオケがどうとか歌って楽しい以前に、結局日本人はアイドルが好きなのであり、アイドルは歌手であれば校長先生をして「へたうま」と言わせるように、上手いというには下手なぐらいが人気を得るというか、好かれるのであり、そこには親しみやすさ、近親感と、それとは裏腹なスターであることの遠さ、全く手の届かない高嶺の花、憧れとしての存在感、この近くて遠いという二面性が関係し、大きく影響しているように思う。

だからこそ、カラオケなら邦楽!というのは、マーケティングに過ぎないのだ。

この番組は普段から芸能ニュースが多いのだが、それもTV業界が不況といわれる状況を反映した結果であることは、否定できないはずだ。実際不況なのだから。

もちろんベスト2に絞った表向きの理由は「時間がないから」だろう。

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